アスベスト関連疾患

 この外来は予約制で、内科・呼吸器科の名取雄司医師が担当、木曜日午前と午後を中心に予約制で実施しています。

 「悪性胸膜中皮腫・悪性腹膜中皮腫という病気を初めて告げられました。どういう病気なのでしょうか?」「悪性胸膜中皮腫の治療方法の事で相談したいのですが?」「現在の病院での治療でよいのでしょうか?」「主治医の先生と治療方法は信頼しています。しかしアスベスト(石綿)による病気との説明でしたが、主治医の先生は昔の仕事の内容や労災保険等についてご存じないようなので相談したいのですが?」「抗ガン剤の治療をして半年。今後は家で過ごしたいのですが?」「既に亡くなった遺族ですが、石綿との関係がありそうなので、相談したい。」

 この数年多くの方のご相談と治療に外来で応じてきました。御相談に見えられた多くのご本人やご家族は、引き続きそれまで治療されてきた病院に通院や入院しながらで、ご相談に応じてまいりました。「他の医師に相談したら、現在の主治医の先生との関係がまずくなるので相談にはいけない。」という皆さんの心配の多くは無用でした。病院の主治医の先生と御協力して治療や相談を行う事が殆どでした。ご本人は遠方で受診できず、ご家族のみレントゲン写真や病理報告書を持参され、電話でご本人と仕事の内容を伺う事もありました。

 悪性胸膜中皮腫の80%は、仕事による吸入とされています。(アスベスト関連疾患の診断基準を定めた「ヘルシンキ・クライテリア」)昔のお仕事と病気の関係を明らかにする産業医学の手法で、多くの方が労災保険で治療費や休業補償やご遺族の補償を受けられました。

 亡くなる直前まで安らかに自宅で過ごせるように、訪問診療を行ってきました。ご家族に感謝の言葉を述べ、ご自宅で安らかに過ごされる悪性胸膜中皮腫の方の姿を拝見してきました。

 大学病院や総合病院の呼吸器内科や胸部外科や病理の先生から依頼を受け、光学顕微鏡で肺の中の石綿小体(アスベスト繊維を芯にして肺内で形成される物質)を算定してきました。研究者にお願いして、電子顕微鏡でのアスベスト繊維の同定も行ってきました。

 今後も、多くの患者さんやご家族の皆さんと共に、臨床で治療・ケアにあたられる医師や看護師等の皆さん、福祉関係やNPOの皆さん、検査や研究者の方々と協力し、アスベスト関連疾患の方の診断・治療・ケア・予防にあたって参ります。

●名取医師 履歴

1983年 奈良県立医科大学卒
1983-85年 中央鉄道病院内科研修医
1985-89年 横須賀共済病院内科呼吸器科
1989-95年 横須賀中央診療所所長
内科・呼吸器科・在宅医療
1996-2001年 白十字診療所で在宅医療担当
1996年-現在 ひまわり診療所・横須賀中央診療所で
外来・在宅医療担当
2003年-現在 中皮腫・じん肺・アスベストセンター所長
2004年-現在 中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会
相談役

●予約

 受診を希望する方は、03-5609-1823(担当:永井、加藤)に、予約をお取り下さい。