ひまわりの会納涼会で
裸のおつきあい

アスベスト二次診療担当 加藤 浩次

温泉に浸かっている猿

 ひまわり診療所には通称「ひまわりの会」という患者会があります。今年5月27日に開催された納涼会の活動を紹介したいと思います。

 ひまわりの会を簡単にご紹介します。建設労働組合に加盟する方々が会員となり活動をされています。会員となる方は、職業病とされるじん肺・合併症に罹患し労災保険で療養をされている方々です。建設業は多くの粉じんに晒される過酷な業種ですが、一度肺内に取込んだ遊離ケイ酸粉じん等は取り除くことは不可能です。長期に吸い続けるとじん肺という職業病になる事があります。皆さんも耳にしたことがあると思いますが「アスベスト」も粉じんの一種で、発がん性がある危険な物質とされています。1950年代半ばから2000年代半ばには多くのアスベストを含有する建材が使われていました。会員の中にもアスベスト粉じんを多く吸い込んできた方もいます。

 現在会員数は20名ほどですが、会の目的は2003年の設立総会「結成宣言」に記されています。一部抜粋します。

 「全建総連東京都連、ひまわり診療所、東京労働安全衛生センターは、じん肺被災者の早期発見と救済の取り組みを共同して続けてきました。・・・建築業での粉じん作業やじん肺・アスベスト疾患は社会的に未だ知られておらず、今後の若い世代がじん肺や肺癌・中皮腫にならないためにも、多くの仲間が早期に気づくためにも、じん肺・アスベスト疾患になった者の責任は大きいと考え、『建設じん肺被災者の会・東京(通称ひまわりの会)』を発足することを決めました。」

 会の目的は(1)じん肺・アスベスト疾患被災者間の交流と相互支援、(2)充実した補償制度を求めるための政策提言活動、(3)建設現場でのじん肺・アスベスト疾患をなくすための活動の3つです。

 さて、今回の納涼会は会員間の交流、相互支援を目的とした取り組みですが、企画運営には開催日の4カ月ほど前から運営委員9名で毎月一回協議して決めていきます。多くの案がでましたが、今回は「日帰り温泉にしよう。」という事になり東京労働安全衛生センターの仲尾さんの案で「綱島温泉スパリブール」に決定しました。問題も少しあり、会場が最寄りの駅からかなり離れていることから、患者さんの負荷を無くすためにタクシー利用することとしました。最寄り駅や集合場所、タクシーの配車体制を念入りに協議しました。

 納涼会当日は11名の参加でした。電車の遅れが発生し1名の会員さんの到着が遅れましたが無事合流し、まずは温泉を満喫され露天風呂では会員さん同士で話がはずみ、名取先生も楽しそうに談笑していました。サウナ好きの方もいて気持ちよさそうに「あぁ~整った。」と・・。私と、仲尾さんは温泉で体調を崩す方がいないか最後まで残り宴会場へと向かいます。今回の参加者は温泉という事もあり全員男性でした。(ご家族の参加も進めています)。

 温泉を満喫した後は宴会ですが、開始前からビールを片手に盛り上がっている会員さんもいて、宴会では美味しい料理とお酒飲み放題という事で、ぐんぐんお酒が進んでいる様子でした。(私もですけど・・・)。職人時代の武勇伝や、ご家族のお話、労災療養の話までいろんな話が聞けました。名取先生はお話し好きなので話題を廻していました。

 短い時間でしたが、会員さんの個々の様子やご家族の事など知る事が出来て、裸のお付き合いでより近い関係性ができた納涼会でした。何より無事故で楽しくできたことが次回の企画や活動につながると思います。

 6月の運営委員会では、参加された会員様からの概ね「大変良かった」という感想に加え、「会員家族も参加できる企画を」などの意見が出ました。今後の課題としていきます。